**********************************************************************   ☆ 特定・宇宙ニュートリノ第10回研究会のお知らせ ☆
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                      特定領域研究「ニュートリノ」都立大・新潟大計画班
                      宇宙ニュートリノ観測情報融合センター 共催

まず何よりも最初に心からのお祝いを申し上げます。

小柴先生のノーベル物理学賞受賞おめでとうございます!

今我々を含めニュートリノ物理に携わるもの皆がこの賞に導いたお仕事の
先見性と、それを的確に表現した受賞記中の「パイオニア的貢献」という
言葉の重さをかみしめています。

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第10回研究会
日時:2002年11月22日(金)午前10時ー
場所:宇宙線研究所(柏) 大セミナー室

さて、第10回記念(!)の今回のトピックスは

「長基線実験での(1ー3)角・CP位相測定とパラメター縮退の問題」です。

大阪で開催された国際会議PANIC02で期待されたカムランドグループからの
データの発表はありませんでした。こうなると、いつ結果が出るのか判らなく
なりましたので、今回は少しテーマを変えて上記のトピックスについての研究会
を開きます。

もしカムランドが現在最も有力な太陽ニュートリノ問題の解(LMA解)を確認した
としたら、次の、そして3世代レプトンフレーバー混合の構造決定という意味
では残された実験的課題は(1ー3)角測定とニュートリノ質量パターンを決定
する質量二乗差の符号、さらにはその彼方に開けるレプトンCP位相の測定です。
これらの諸量を実験的に測定するために、我が国のJHF実験を始めとして様々の
長基線ニュートリノ振動実験が計画されてきています。

一方、ここ1ー2年の間に起きた理論的進展によってこれらの量の決定に関する
深刻な問題点が明らかになってきました。一つの実験でミュー型からミュー型
および電子型への正反ニュートリノ振動確率を実験でいかに精度よく測定した
としても(1ー3)角、(2ー3)角(=大気角)、CP位相をユニークに決定
できず、一般的には8個の解をもつという問題です。これは
「ニュートリノ振動におけるパラメター縮退の問題」と呼ばれています。

今回の研究会ではまずこの「パラメター縮退の問題」の全体像を理解し、その
上でこの問題の解決に向けた方策の議論を開始したいと思います。この問題の
複雑な様相を考えに入れた上で世界的にもここ10年間程度の近未来に現実的
に実行できる実験は限られていることを考慮すると、「パラメター縮退の問題」
の解決は一朝一夕には不可能で、かつ幾つかの測定を組みあわせる必要がある
ことが判ってきます。将来の実験計画を展望しつつ、この問題解決への長期的
かつ現実的な戦略を練る必要があります。

今回はこの問題については初回ですので参加者がこれについての共通認識を
もてるように努力することを目標にしたいと思います。さらには、今後の
研究会を通じて「パラメター縮退の問題」解決への現実的な戦略に関する
議論を深めていくつもりです。できれば、今まで考えられてこなかった
新しいアイデアを開拓してきたいと思います。

この一つの具体例として、長基線ニュートリノ振動実験とは相補的な別のタイプ
の実験を考えるというアプローチがあります。具体的に検討が進んでいるもの
として、原子炉実験で(1ー3)角を測定するというアイデアがあります。
この実験的側面について末包さん(東北大)に、「パラメター縮退の問題」とも
関連した理論的側面について杉山さん(都立大)にトークをお願いしました。

一方、もう半年程前のことになりますが、木村・高村・横枕という3人の若い
人達によって物質中での3世代振動確率の厳密な表式が導かれ話題になりました。
何人もの人達が長い間試みて出来なかったことに初めて成功したこと、その
振動確率のCP位相依存性が驚くほど単純な形であったこと等の理由からです。
この一連のお仕事について高村さんにトークをお願いしました。

今回は準備が遅れていてまだプログラムが完成していません。
適当と思われる話題をお持ちの方は世話人までご一報下さい。

特定・宇宙ニュートリノ第10回研究会プログラム
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午前:

  「実験屋さんのためのパラメター縮退(全体像)」
        南方 久和(都立大)      [pdf 0.6Mbyte]

  「原子炉実験による(1-3)角の測定とパラメータ縮退の問題」
      (他の可能性・方法についてのレビューを含む)
        杉山 弘晃(都立大)      [pdf 0.4Mbyte]

午後:

  「Neutrino Oscillation Probability and CP Violation in Matter」
        高村 明(豊田高専)     [pdf 0.6Mbyte]

  「原子炉実験による(1ー3)角の測定(実験的側面)」
        末包 文彦(東北大)     [pdf 0.7Mbyte]

  「JHF実験計画の最新版」    
        中谷 剛 (京都大)        [pdf 2.8Mbyte]

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交通、宿泊、他:

○ 参加費用: 無料

○ 宇宙線研への交通について:

以下のホームページをご覧下さい。

http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/intro/shisetsu_kashiwa.html

○ 宿泊/旅費補助について:

    今回の研究会について、旅費希望者の方については、宇宙線研究所の
研究員等旅費からの支給します。旅費補助および東大柏キャンパスの
共同利用宿舎での宿泊が必要な方は、宇宙ニュートリノセンター秘書
福田蓉子さんまで申し込んで下さい。

申し込み先; yoko@icrr.u-tokyo.ac.jp
なお、申し込む際、以下の情報を記入して下さい。

*共同利用宿舎での宿泊希望の場合
氏名:
所属機関:
身分:
宿泊希望日:
到着時刻(時刻によって鍵の受け取り方が変わります):
共同利用宿舎が満室の場合に柏駅周辺のホテルの紹介希望の有無:

*旅費補助を希望される場合、上記に加えて
旅行日程:
東大での銀行口座登録の有無:

なお、旅費希望の方で東大に銀行口座登録がない場合には、口座登録をして
いただく必要があります。登録書式をお送りしますので、FAX番号を
必ず明記して下さい。

自分で旅費をお持ちの方は、そちらの旅費でお願いします。

以上。

宇宙ニュートリノセンター  梶田隆章
特定領域研究 新潟大計画班 谷本盛光
  同    都立大計画班 南方久和